シネマティック・ボイス /Cinematic Voicesとは何か? フィルムに写ったヨゼフ・ボイス/Joseph Beuysを表紙に持ってきたが、 これはただの洒落にすぎない(それも日本語圏のみ可能な)。 シネマティック・ボイスといっても映画との関係はない。 さらに言えば何の意味も持っていないかもしれない。企画者がただ思いついた言葉だという。 これはエアプレーン・レーベル主催によるコンサートのタイトルとしてある。 そして、その後、それは連続的に使用されることになる。 今回で3回目になるコンサート・シリーズ。それも特殊な音楽によるコンサート。 テクノでもポップでもクラシックでもない、音楽の(それに音響も)実験に奉じられている。 誰にもそれほど知られていない音楽。 音楽として受けいれられにくいかも知れない音楽の可能性を、失敗を通じてシネマティック・ボイスは引き受けていく。 それに、もしかしたら多くの外国ミュージシャンが参加していることもシネマティック・ボイスの特徴になるのかも知れない。 ここには何らヒエラルキーは存在しない。ファッションも存在しない。そして、ファッシュも、レイシズムも。 でも今だ入場料は存在してしまう。ごめんなさい。 シネマティック・ボイスのこれまで シネマティック・ボイスVol. 1は今年の3月渋谷のクラブ・エイジアで行われた。 出演者はクリストフ・シャルル Christophe Charles、SILICOM /Aoki Takamasa、アリズミア Arrthymia、 World as will (Zbigniew Karkowski+Tesuo Furudate 古舘徹夫)、Tujiko Noriko、Gel: + Discom(フランス)。 OK FREDとの共同企画だったが、シネマティック・ボイスの企画者がびっくりするほどの大成功のコンサートだった。 が、ちょっと調子に乗り過ぎたのかもしれない。 それはGel: + Discomの人気によるものだったことに次回、気がつかされることになる。 そのVol.2は9月に吉祥寺の小さなギャラリー、眺めのいいWIDOS GALLERYで行なわれることとなった。 Arrhythmia アリズミア 、Christph Charles クリストフ・シャルル 、KK. Null ヌル、Kozo Inada 稲田光造 、 Philipe Chatelain フィリップ・シャトラン(フランス)、 Philip Samartzis フィリップ・サマラティス(オーストラリア)、 Tetsuo Furudate 古舘徹夫。かなり、実験的かつ先鋭的なアーティストを集合させたことに満足していたが、 情報が行き届かなかったのではないかということを言い訳にしながらも、まったく注目されないコンサートに終わる ことになってしまった。うーん。 シネマティック・ボイス Vol. 3 しかし、懲りずに信念を持ってシネマティック・ボイスVol.3が12月6日に開かれる。 場所は前回と同じ吉祥寺の小さな眺めのいいギャラリーWIDOS GALLERY。 今回セレクトされたのは、yxetm+ Yurihito Watanabe、 Autrement qu'etre-1 (Tetsuo Furudate + Sumihisa Arima)、 アリズミア Arrthymia、そしてヘルムート・シェッファー h. schafer/red cross prod (From Austria)の4組。 この選択は、かなりランダムで偶発的で恣意的だ。 yxetm+ Yurihito Watanabe 一年の滞欧を終え帰国したばかりの彼は英国David Toop氏の信奉を得てしまう。 Toop氏にとって彼は坂本龍一にならぶ日本を代表する音楽家だ。 シネマティック・ボイスの前身のアイデアは彼によるもの。 アリズミア Arrthymia 不整脈 不整脈とはビートのことだろう。狂ったビートはいつも音楽を揺らがせながら、音楽に限りなく接近していく。 Autrement qu'etre-1 (古舘徹夫 Tetsuo Furudate +有馬純寿 Sumihisa Arima) オートリメント・ケトル(存在ではなく)。この名前を使うのは1年振りだ。 丁度一昨年の同じ時期。ベルリンでノイズ・オペラを初演した。 その体験があまりにヘビーだったのか1年間音楽作業を共にすることはなかった。 しかし、のど元すぎればなんとやら、ふたたび、交えることになる。だが、いまだにマイナス1だ。 ヘルムート・シェッハー h. schafer/red cross prod.(オーストリア) I have to play concerts in Japan. 強力なメールがオーストリアから届き閉口していた。 ところがウイーンでたまたま彼のコンサートを見ることができた。 それが、すばらしい。ついつい、You should play in Tokyo.と言ってしまった。 結果、日本での初公演になる。Laptopを使った彼のノイズは不思議なことに体温を感じることができる。 以上が今回の出演者。 ショート・コラム ところで、どうもヨーロッパの連中には礼儀があって、オルガナイザーはPlayしないということらしい。 来日するアーティストは僕やアリズミアがオルガナイザーでありかつ演奏することを不可思議に思えるようだ。 しかし、いつも僕は彼らに日本のことを知らないと言っている。僕たちは自分のコンサートをやりたいからオルガナイズをする。 よけいなプロデューシング・ワークとお金を消耗しながら。 まあ、でも次回シネマティック・ボイスVol.4では、僕かアリズミアどちらかが抜けてオルガナイジングに集中しようかな? と話し合っているところ。うーん。 以上:古舘徹夫 |