手つかずのピュアなミャンマーの伝統音楽を残したいという想いから2013年の4月から5月にかけての40日間、
ミャンマーの最大都市ヤンゴン、その中心部から少し離れた郊外のスタジオに機材を持ち込み、録音を行ないました。
全ての演奏は現地の演奏家によるもので、その収録曲はおよそ100曲にのぼります。本作品ではその膨大な
記録の中から、謎に満ちたミャンマーの伝統音楽を知る手掛かりになるような楽曲を選曲しています。
隣接する周辺諸国と相互に影響し合いながらも、独自の発展を遂げてきたミャンマーの伝統音楽。
その不思議で光輝くような音楽を12曲にまとめました。
ミャンマーはバングラデッシュ、インド、中国、ラオス、タイの5カ国に囲まれる他民族国家です。
ミャンマーには主要な民族は8つあり少数民族もいれると135部族にもなり、そのうちビルマ族が70%を占めています。
このCDにははビルマ族の古典音楽、村落歌謡、ナッ神(精霊)信仰の伝統音楽が収録されています。
録音は18世紀に作られたものが中心でありますがミャンマー古典音楽の作者不詳の作品の中にはもっと古くに
作られたと考えられるものもあります。ミャンマーの音楽には楽譜がなく代々歌い継がれて伝承されてきました。
皆、何度も歌いながら一小節ずつ覚えていったそうです。
そして、ミャンマーにはサインワインという不思議な楽器があります。
木でできた丸い円の中に22個の音階のある太鼓をぶら下げたもので、サインワインが中心となったサインワイン
オーケストラというものがあり、ミャンマー特徴的な音楽といえます。
それと、竹山道雄の『ビルマの竪琴』で有名な竪琴があります。赤いボディの美しい音色をした16本の弦楽器です。
このCDにはその様な魅力的で、歴史的にも興味深い演奏が収められ、
又、大阪大学大学院 言語文化研究科 井上さゆり准教授に全12曲の解説をお願いして
それぞれの楽曲のジャンル、制作年代、内容を分かりやすく学術的に説明していただいております。 |