Jun Kawabata |
東京都出身。作曲家、写真家、音楽プロデューサー、映画プロデューサー。 アフリカの自然、ヨーロッパの雑踏、駅やBAR、カフェに魅かれ、旅をしながら写真を撮りはじめる。自身の音楽もこの頃より作り始め、寺山修司の天井桟敷のパフォーマンスに音楽参加する。 1986年には、オランダの写真家、エド・ヴァン・デル・エルスケンのアシスタントを務める。 1992年にはバルセロナオリンピックを一ヶ月かけて撮影。 その後、音楽家としてソニーレコードより、水口博也(海洋写真家)、星野道夫(動物写真家)とのコラボレーションCDを3枚リリース。 1997年、ジャズ、ブルースロック、ノイズ、実験音楽にスポットをあてた音楽レーベルの『AIRPLANE LABEL』を創設。自身の音楽作品を発表するとともに、ブルースやジャズ、実験音楽等のアンダーグラウンドシーンのミュージシャンにスポットをあて、現在までに40枚以上のアルバムをプロデュースしている。 (キャロルのギタリスト内海利勝、ジャズベーシスト荒巻茂生、KOTEZ&YANCY、オノ・ヨーコ参加のコンピレーションアルバム等)写真家としては、1999年に 写真集『Absolute Elsewhere』を発表。 2002年には2作目の写真集『No Matter Where You Go』を発表。 この2作はニューヨーク、ロンドンのポール・スミスにて、セレクトされ販売された。 2002-2004年の夏に3年連続で銀座伊東屋(9Fギャラリー)にて写真展を開催する。 近年は木村威夫監督作品の『 OLD SALMON 海を見つめて 過ぎた時間』(2006) 『馬頭琴夜想曲』(2007)のプロデュースと音楽、長編劇映画『夢のまにまに』(2008)では音楽を担当。 また、実験音楽のイベント『CINEMATIC VOICES』のプロデュースも行っている。 2009年秋に写真集最新作『So Far~浮遊のはじまり~』発表。 同年11月にシネマート新宿、銀座シネパトスで公開の映画木村威夫監督作品『黄金花』のプロデュース、音楽も務める。 (www.airplanelabel.com/ougonka/) |
○『So Far 〜浮遊のはじまり』の出版に寄せて 瞬間の被写体群 一枚、一枚、頁をめくればーー、夕闇せまる色感がすべてを凝縮して、美神の語りとなる。 テーブルの上の居眠り老人や、談笑の人々の背後にある、酒瓶や、カップが無機物であり乍ら存在を主張する。それは息吹の対比である。 時を刻むーー、発車のベルが鳴るーー、次なる旅へと、未知なる思考ーー。 渦を巻くタバコのけむりと、列車の振動音が夢幻へと誘う。 悲嘆や笑声が狂へる如くこだまして、その鉄路のざわめきに沈黙の時がくる。 赤錆だらけの汽関車が、ひっそりと眠る。 そして、その異国の匂いが、じんわりとせまり、夜の灯が涙にむせぶ。 すべては一瞬の間の累積である。 木村威夫(映画監督)
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川端潤『So Far』に寄せて 旅は写真家の意識を変える。自分がほんのちょっと薄くなったり、軽くなったり、逆に重く、大きくなったりしているように感じる。見るものすべてが鮮やかな光を発して輝く。反対にすべてが敵意を持って襲いかかってくる。そんな『不思議の国のアリス』のような状況を、いかに上手にコントロールするかが写真家の腕の見せ所だ。逆らってはだめだし、流されるのはもっとよくない。 川端潤はとてもうまく旅の時間を漂いながら、歓びと悲哀をブレンドした物語を紡ぎ出していく。見ていて、僕も旅に出たくなってきた。 飯沢耕太郎(写真評論家)
僕は今年、いくつかの女性誌やモード誌から同じ質問を受けた。それはセックスをせず、料理店にも行かないと同時に、海外旅行に行かない、美しくてデリケートな男性についてで、彼等に肉を喰わせるにはどうしたら良いか?と問う女性編集者達は、半ば混乱していた。何ということだ。そんな男は死んでしまえばいいのに。 でも困った事に、僕には彼等の気持ちが少しわかる様な気がした。彼等には何の特効薬も無い。 彼等を駆り立てる物は、この世にもう無いのだ。この写真集だけを除いて。 菊地成孔(ジャズミュージシャン) |