Mille Comedies
Mariko es "The Door Practice"
Mariko es : Installation

開く。出る、と同時に入る。
足を踏み入れた部屋に満ちる時間は均一ではなく、一歩移動する毎に自らを更新し、外部の時空間とずれていきます。辿り着いた扉を抜け再び外へ出たとしても、果たしてそれは私の見知ったあの場所なのでしょうか?
出口の記憶を求めて、私は道の一歩を繰り返します。





Yurihito Watanabe : Music and Word

そこから消え去ること... 聴こえざるものの記憶の方へ、音楽は隠れ込む。
先だって逝ってしまった者達の声を憶い出すのに肖て。
Mariko es "The Door Practice"
four diaries for "The Door Practice"
夏至 summer solstice*'

 空白に灼かれた わたしの眼 開かれた まゝに
 わたしは あなたを 見失ふ

  *

 辿り着かない
 私の灰は散り散りに おまへの輪廓を探す



秋分 autumnal equinox

 三つの銃聲が 兄弟たちを撃ち抜いた日 わたしは生まれた
 彼らの名の後を追って
 わたしの名は 霧の中に谺して消えた
 そして 誰も わたしを呼び止めることが できない

  *

 ひとつの合圖を送ること それが私の役割だった
 近しい者達との訣別
 近しい語彙の悉くが 彈痕のやうに 書物の閾から 去った



冬至 winter solstice**

 あなたは 嚴冬の合圖を運んできた
 三つの頭文字の間に 凍てついてゐた記憶で わたしを貫き
 あなたは 叫ぶ
 眞っ白な振動が その一瞥に わたしの輪廓を 象った
 わたしが 初めて振り返った聲が そこに あった

  *

 霧は砂のやうに降る
 狂れ果てた 時の行方に
 それを 奪ひ それを 奪はれた
 私は それを 拒む



春分 spring equinox

 何も知ることはなかった 何も想ひ出すことはなかった
 逆しまの沈默で覆された 
 わたしの 髪の ひとすぢ ひとすぢ

  *

 私の聲は隱れ込む
 おまへの 默祕と 忘却のうちに
 私の聲は どこにもない



narration : Mariko Sugano, Aasako Moriya*' & yxetm+,
guitar : Shinichiro Yamazaki**.

"The Door Practice" Installation by Mariko es,
Music and Word by Yurihito Watanabe;
at altenative art space KAI/ZEN in Tokyo, September 2001.
yxetm+ Yurihito Watanabe

MILLE COMEDIES ─ LE DOUBLE INAUDIBLE | ミル・コメディ ― 聴こえざる分身
music for three installations | 三つのインスタレーションのための音楽
yxetm+ Yurihito Watanabe | 渡邊ゆりひと
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